人気ブログランキング | 話題のタグを見る

子の心、親知らず

「人間は自分が経験したことしか、本当に理解することは出来ない」
というのが私の持論です。

私の両親は戦争経験者です。
子供の頃は、よく戦争の話を聞かされて育ちました。
食べるものすらなかった時代の苦しみは本当に辛いものだったと思います。
「人間は苦労しなきゃダメだ!」というのが私の母の口癖です。

でも、私は戦争を経験したことがありません。
頭の中では「理解したつもり」になっても、本当に「理解している」とは言えません。
ちょっと冷たい言い方かも知れませんが、
母にいくら「戦争の苦しみ」を訴えられたとしても、
私が本当にその苦しみを「理解する」ということは不可能なんだと思います。
もちろん、少しでも「理解しようとする」ための努力は大切だとは思いますが・・・。

「親の心、子知らず」という言葉がありますが、
これはよく考えてみれば、当たり前のことです。
「子供」には「親の経験」がないんですから。
「親としての経験」のない「子供」に、いくら「親の立場」を理解しろといっても、
わかるはずがないんです。
少しでも理解してもらいたいのであれば、「親の目線」ではなく、
「子供の目線」に立って会話をするしかありません。
どの「親」であっても「子供の経験」は持っているはずですから。

最近、子供の「学力低下」が取り沙汰されています。
これを聞いた世の大人たちは、
「今の子供は全然勉強しなくなった」、「今の子供はまったくやる気がない、無気力だ」
と言っては眉をひそめます。

でも、よく考えてみてください。

私たちが子供だった頃と、今では、育つ環境がまったく違っているはずです。
テレビや漫画はもちろんのこと、
ゲーム、パソコン、ケータイと世の中には「勉強より面白いモノ」が満ちあふれています。
もし、私たちが今子供だったとしても、
そういった誘惑に負けることなく、勉強することが出来るという自信のある方、
どれだけいるでしょうか? 
少なくとも、私にはまったく自信がありません。
きっと今ごろ、ゲームやケータイに興じていることでしょう。

そういった「環境の違い」を考慮せず、
「今の子供たちは・・・」と言っては顔をしかめることこそが、
私は問題ではないかと思います。

そもそも、このような「子供が勉強しにくい環境」をつくったのは、
いったい誰なんでしょう? 
私たちは、自分たちのやってきたことを棚に上げ、
「今の子供たちは・・・」と言ってはいないでしょうか? 

それはまさに、「子の心、親知らず」ということにならないでしょうか?

自分が子供だった頃、親に言われて「イヤだな~」と思った言葉、
大人になってから子供に浴びせていないでしょうか。
これはもちろん、私自身にも当てはまることですが、
よく考えてみる必要があるのではないかと思います。

「親の心、子知らず」は、子供に責任があるわけではありません。
でも、「子の心、親知らず」は明らかに私たち大人に
責任があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 


注)「子の心、親知らず」という言葉は、私が尊敬している関根正明先生の著書のタイトルです。私がこの本を拝読したのは、もうだいぶ前のことなのですが、今でもこの言葉は私の頭の中にこびりついています。関根先生のホームページは、とても参考になることばかりですので、皆さんもぜひお立ち寄りください。
by sawayoshi45 | 2006-01-14 00:30 | 教育のこと


【札幌の家庭教師 学びの森】   サワダと申します。


by sawayoshi45

札幌の家庭教師 学びの森

以前の記事

2019年 10月
2019年 03月
2019年 02月
more...

カテゴリ

家庭教師 学びの森
自己紹介
自分のこと
教育のこと
勉強のこと
人生のこと
世間のこと
家庭教師のこと
どうでもいいこと

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

北海道
受験・勉強